猫の慢性腎臓病ってどんな病気?多飲多尿・体重減少・食欲不振の原因と対策|豊橋市
猫の慢性腎臓病(CKD)とは?|症状・検査・治療を獣医師がわかりやすく解説
こんにちは。愛知県豊橋市の動物病院「オリバ犬猫病院 三ノ輪院」です。
猫の慢性腎臓病(慢性腎不全/CKD)は、高齢猫でとても多い病気のひとつです。初期は症状がほとんど出ないことも多く、「年齢のせいかな?」と見過ごされやすい一方で、気づいた頃には進行しているケースも少なくありません。
この記事では、飼い主さまがご自宅で気づきやすい症状(サイン)、動物病院で行う検査(血液検査・尿検査・SDMA・血圧測定など)、そして治療(療法食・投薬・点滴)について、初めての方にも分かりやすく解説します。
「最近、水を飲む量が増えた」「おしっこの量が多い」「痩せてきた」など、気になる変化がある方はぜひ参考にしてください。
目次
猫の慢性腎臓病(CKD)とは?
慢性腎臓病(CKD)とは、腎臓の働きが数か月〜数年かけて徐々に低下していく病気です。
腎臓は、体の老廃物を尿として排出するだけでなく、体内の水分量・電解質(ナトリウムやカリウムなど)・血圧の調整にも関わる重要な臓器です。
猫の腎臓病が問題になる理由は、一度低下した腎機能は基本的に元に戻らないこと。だからこそ、
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できるだけ早い段階で見つける(早期発見)
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進行をゆるやかにする(進行抑制)
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生活の質(QOL)を保つ
ことが治療の中心になります。
猫の慢性腎臓病の主な症状(初期〜進行時)
慢性腎臓病は、初期ほど症状が分かりにくい傾向があります。「ちょっとした変化」が重要なサインになることもあります。
初期症状(気づきにくいサイン)
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水を飲む量が増える(多飲)
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おしっこの量が増える(多尿)/トイレの砂がすぐ湿る
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なんとなく元気がない/寝ている時間が増える
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食欲が少し落ちる/ムラが出る
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体重が少しずつ減る(痩せてきた)
進行すると見られる症状
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食欲不振、体重減少、筋肉量の低下
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嘔吐・下痢(胃腸症状)
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毛づやが悪い/被毛がボサボサ
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口臭が強くなる(アンモニア臭)/よだれ
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脱水(皮膚が戻りにくい、歯ぐきが乾く)
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重度では ふらつき、けいれん、意識状態の変化 など
「水をよく飲む」「おしっこが増えた」「最近痩せた」は、高齢猫の腎臓病でよく見られる初期サインです。
“歳のせい”と思っていた変化が、実は腎臓病の始まりだったということも多いため、早めの検査が安心につながります。
猫の慢性腎臓病の検査方法(血液・尿・血圧が基本)
慢性腎臓病は、血液検査+尿検査+血圧測定を中心に、必要に応じて画像検査を組み合わせて診断・ステージ評価を行います。
血液検査(腎機能の評価)
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BUN(尿素窒素)
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クレアチニン(Cre)
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SDMA(早期腎機能低下の発見に役立つ項目)
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併せて リン(P)・カリウム(K) などを確認し、治療方針に活かします
※数値は「その日の脱水」でも変動することがあるため、総合的に判断します。
尿検査(尿を濃くする力・タンパク尿)
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尿比重:腎臓が尿を濃くする力の指標(早期から変化が出ることがあります)
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タンパク尿の有無(尿蛋白):進行や予後に関わることがあります
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尿沈渣:炎症や結晶などのチェック
血圧測定(高血圧は重要)
腎臓病の猫は高血圧を伴うことが多く、腎臓の進行を早める原因にもなります。
また高血圧は 目(網膜)・脳・心臓にも影響するため、定期チェックが大切です。
画像検査(超音波・レントゲン)
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腎臓の大きさ・形・内部構造の確認
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結石、腫瘍、腎盂の拡張などの有無
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他の病気が隠れていないかの評価
猫の慢性腎臓病の治療方法(完治ではなく“進行を抑える”治療)
慢性腎臓病は完治が難しい一方で、適切な治療を続けることで、進行を遅らせ、元気に過ごせる時間を伸ばすことが可能です。治療はステージや体調に合わせて組み合わせます。
食事療法(腎臓病治療の中心)
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腎臓病用療法食(リン・タンパク質の調整、腎臓への負担軽減)
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早期から始めるほど効果が期待しやすいとされます
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「食べない」場合は、切り替え方法や嗜好性の工夫も重要です
内服薬治療(症状・数値に合わせて)
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リン吸着剤(リンが高い場合)
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血圧を下げる薬(高血圧対策)
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タンパク尿を抑える薬(蛋白尿がある場合)
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制吐剤・食欲増進剤・胃薬(嘔吐や食欲不振の緩和)
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必要に応じて、電解質(カリウム等)の補正を行うこともあります
点滴治療(脱水と老廃物対策)
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皮下点滴:ご自宅でのケアとして行うこともあります
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静脈点滴:状態が悪い場合や入院が必要な場合
脱水を改善し、体内の老廃物の排出を助ける目的で行います。
猫の慢性腎臓病は早期発見が重要(7歳以上は要チェック)
慢性腎臓病は、7歳を超えた猫では特に注意したい病気です。
定期的な健康診断(血液検査・尿検査・血圧測定)を行うことで、症状が出る前に見つけられる可能性が上がります。
とくに、
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水を飲む量・尿量の変化
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体重の減少(少しずつでも)
は見逃されやすいポイントです。ご自宅での記録も早期発見に役立ちます。
まとめ|猫の慢性腎臓病(CKD)と上手に付き合うために
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慢性腎臓病は高齢猫に多い病気
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初期症状は分かりにくく、多飲多尿・体重減少がヒントになる
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血液検査(BUN/クレアチニン/SDMA)+尿検査+血圧で評価する
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療法食を中心に、投薬や点滴で進行を抑えQOLを保つ
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小さな変化に気づいたら早めの相談が安心
「水をよく飲む」「最近痩せた」「トイレが増えた」など、気になる点があれば、早めに動物病院へご相談ください。早期からケアを始めることが、猫ちゃんの健康寿命を延ばす第一歩です。
