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犬の血小板減少症とは?点状出血・紫斑の原因、検査(血液検査)と治療(免疫抑制/基礎疾患治療)を獣医師が解説|豊橋市 オリバ犬猫病院 三ノ輪院

犬の血小板減少症|症状・原因・検査・治療について獣医師が解説

こんにちは。愛知県豊橋市のオリバ犬猫病院 三ノ輪院です。

今回は、ワンちゃんで突然の出血症状につながることもある 「血小板減少症」 について、症状・原因・当院での検査と治療方針を分かりやすく解説します。

血小板減少は、軽度でも注意が必要ですが、重症化すると命に関わることがあります。

「皮膚に赤い点がある」「あざが増えた」「鼻血が出る」など気になる症状があれば、早めにご相談ください。

血小板とは?(血を止める重要な成分)

血小板は、血液の成分のひとつで、出血を止める(止血)ために欠かせない役割をしています。

ケガをしたときに血が固まって止まるのは、血小板が働いているからです。

この血小板が何らかの原因で少なくなる状態を 血小板減少症 と呼びます。

血小板が減ると、

  • ちょっとした刺激でも出血しやすくなる

  • 出血した時に止まりにくくなる

  • 体の中で出血(内出血)を起こす

といったリスクが高まり、重症例では命に関わることもあります。

血小板減少症の症状(特徴は“点状出血”)

血小板減少症で特徴的なのが、点状出血(てんじょうしゅっけつ)と呼ばれる小さな内出血です。

皮膚で見つかりやすい部位

  • お腹

  • 股(内もも)

    など、皮膚が薄い場所に赤い点々として見えることがあります。

その他の症状

  • 紫斑(あざ)が増える

  • 歯ぐきから出血する

  • 鼻血が出る

  • 血尿

  • 血便、黒色便(消化管出血の可能性)

  • ケガの出血がなかなか止まらない

  • 元気・食欲低下、嘔吐 など(原因疾患により)

すぐ受診をおすすめする症状(緊急サイン)

以下のような場合は、早めの受診が必要です。

  • 鼻血が止まらない

  • 血便・黒色便が出る

  • 血尿が続く

  • 口の中(歯ぐき)から出血している

  • ぐったりしている、呼吸が荒い

  • 皮膚の点状出血が急に増えた

血小板減少は「様子見」で急変することがあるため、迷ったら受診をおすすめします。

原因(血小板が“減る仕組み”は大きく4つ)

血小板減少症は原因が多岐にわたります。理解しやすいように、血小板が減る仕組みを4つに分けて整理します。

① 作れない(産生低下)

  • 骨髄の異常(血小板を作る工場がうまく働かない)

  • 骨髄の炎症や腫瘍、薬剤の影響 など

② 壊される(破壊亢進)

  • 免疫介在性(自己免疫性):自分の免疫が血小板を攻撃してしまう

  • 感染症(ウイルス・細菌など)により破壊される

  • 腫瘍に関連して破壊される

  • 薬剤による破壊

③ 使いすぎる(消費)

  • DIC(播種性血管内凝固)

    =血を固める仕組みとサラサラにする仕組みのバランスが崩れ、血小板が大量に消費される状態

  • 重度炎症・敗血症などが背景にあることがあります

④ どこかに“たまる”(分布異常)

  • 脾臓の異常により、血小板が必要以上に脾臓で処理される/貯留することがあります

このように原因が幅広いため、原因を特定して治療方針を決めることが重要です。

検査方法(血液検査+原因検索)

1)血液検査(PLT:血小板数)

血小板の数を測定します。

一般的に正常値は 20〜50万/μl 程度で、これより低い場合に血小板減少が疑われます(※測定機器や検査会社で基準が異なることがあります)。

2)顕微鏡での確認(とても重要)

自動測定では、血小板が“固まって”少なく見えることがあります(いわゆる偽性血小板減少)。

そのため当院では、血液塗抹を顕微鏡で確認し、血小板が本当に少ないのか、凝集が起きていないかを評価します。

3)画像検査(超音波・レントゲン)

腫瘍や臓器異常、脾臓の異常などが疑われる場合に実施します。

4)追加検査(必要に応じて)

感染症の可能性、DICの評価、骨髄の問題が疑われる場合など、状態に応じて追加検査をご提案します。

治療(原因に合わせた治療が基本です)

血小板減少症の治療は、基礎疾患(原因)への治療が最も重要です。

① 基礎疾患がある場合

感染症、腫瘍、薬剤、DICなど、原因が見つかればその治療を優先します。

② 自己免疫性(免疫介在性血小板減少)の場合

対症療法として、ステロイドを中心とした免疫抑制療法を行います。

重症度や反応により、より副作用が出にくい免疫抑制薬を併用・移行しながら、再発を防ぎつつ用量を調整していきます。

ステロイドの注意点(副作用)

長期投与で

  • 多飲多尿

  • 易感染

  • 肝肥大

    などの副作用が出ることがあるため、当院では状態を見ながら 安全に減量していくことを重視します。

③ 重症例は入院治療が必要になることも

出血が強い、全身状態が悪い場合は

  • 点滴

  • 出血リスクを下げる管理

  • 必要に応じて輸血(状況により検討)

    など、入院で集中的に治療することがあります。

安静も大切

血小板が低い時期は、転倒・衝突などの刺激でも出血しやすくなるため、安静が重要です。


お薬は自己判断でやめないでください(再発予防)

症状が落ち着き、血小板が正常に戻っても、自己判断で内服を中止すると再発することがあります。

当院では、血液検査で数値を確認しながら段階的に調整しますので、必ず指示通りに継続してください。

まとめ|皮膚の点状出血は見逃さないで

犬の血小板減少症は、原因がさまざまで、重症化すると命に関わる可能性があります。

特に、

  • お腹や内股の点状出血

  • あざ(紫斑)

  • 鼻血、血便、血尿

    などは重要なサインです。

ワンちゃんの皮膚は毛で見えにくいこともありますが、日頃からよく触って、よく観察してあげましょう。

少しでも気になる症状があれば、豊橋市のオリバ犬猫病院 三ノ輪院までご相談ください。