【猫の下部尿路疾患】症状・原因・検査・治療法を獣医師が解説|豊橋市 オリバ犬猫病院 三ノ輪院
猫の下部尿路疾患は冬に増えやすい病気です。頻尿や血尿、排尿時の痛みなどの症状がみられ、重症化すると命に関わることもあります。原因・検査・治療法・予防方法について獣医師が分かりやすく解説します。
猫の下部尿路疾患とは?
「愛猫が何度もトイレに行く」
「おしっこに血が混じっている」
「トイレでいきんでいるのに尿が出ていない」
このようなお悩みはありませんか?
猫の下部尿路疾患(FLUTD:Feline Lower Urinary Tract Disease)は、膀胱や尿道に異常が起こる病気の総称です。特に寒くなる冬は発症が増える傾向があり、当院でもご相談をいただくことがあります。
今回は猫の下部尿路疾患について、症状・原因・検査・治療法・予防方法を分かりやすく解説します。

猫の下部尿路疾患とは?
目次
下部尿路疾患とはどんな病気?
下部尿路疾患とは、膀胱や尿道に炎症や閉塞などの異常が起こる病気の総称です。
具体的には以下のような病気が含まれます。
- 特発性膀胱炎
- 尿路結石
- 尿道閉塞
- 細菌性膀胱炎
- 尿道の炎症
猫の下部尿路疾患は若齢から高齢まで幅広い年齢で発症しますが、特に室内飼育の中高齢猫でみられることがあります。
冬に多くなる理由
冬になると気温の低下により飲水量が減少しやすくなります。
尿が濃くなることで膀胱や尿道への刺激が強くなり、膀胱炎や結石のリスクが高まります。
また、寒さによる活動量の低下やストレスも発症に関与すると考えられています。
猫の下部尿路疾患でみられる症状
代表的な症状
以下のような症状がみられます。
- 頻繁にトイレへ行く
- 少量ずつしか尿が出ない
- 血尿
- 排尿時に鳴く
- トイレ以外で排尿する
- 陰部をしきりに舐める
- 尿のにおいが強くなる
症状だけでは原因を特定できないため、検査による診断が重要です。
緊急性が高い症状
特に以下の場合は早急な受診が必要です。
- 何度も排尿姿勢を取るが尿が出ない
- 元気や食欲がない
- 嘔吐している
- お腹を触ると痛がる
雄猫では尿道が細いため、結石や結晶によって尿道が詰まる「尿道閉塞」が起こることがあります。
尿道閉塞は命に関わる緊急疾患です。
猫の下部尿路疾患の原因
特発性膀胱炎
猫の下部尿路疾患の中で最も多い原因です。
「特発性」とは原因が明確に特定できないという意味です。
ストレスとの関連が指摘されており、
- 環境の変化
- 多頭飼育
- 来客
- 引っ越し
- トイレ環境の不満
などが誘因になることがあります。
尿路結石
尿の中のミネラル成分が結晶化し、結石を形成する病気です。
代表的な結石には
- ストルバイト結石
- シュウ酸カルシウム結石
があります。
結石が尿道に詰まると尿道閉塞を引き起こします。
細菌感染
犬と比べると少ないものの、高齢猫では細菌感染による膀胱炎がみられることがあります。
その他の原因
- 膀胱ポリープ
- 腫瘍
- 先天的な異常
などが原因となる場合もあります。
猫の下部尿路疾患の検査・診断方法
尿検査
診断において最も重要な検査です。
以下を確認します。
- 血尿の有無
- 炎症の有無
- 尿比重
- 細菌
- 結晶
診察時に確認している重要なポイントのひとつです。
超音波検査
膀胱内の状態や結石の有無を評価します。
膀胱壁の厚さや炎症の程度も確認できます。
レントゲン検査
結石の位置や大きさを確認する際に有効です。
血液検査
尿道閉塞が疑われる場合には腎機能や電解質異常を確認します。
オリバ犬猫病院 三ノ輪院では、尿検査に加えて必要に応じて血液検査、レントゲン検査、超音波検査を組み合わせて診断を行っています。
猫の下部尿路疾患の治療方法
内科治療
原因に応じて治療を行います。
- 消炎剤
- 鎮痛剤
- 点滴治療
- 抗菌薬(細菌感染時)
などを使用します。
食事療法
結石や結晶が認められる場合は療法食による管理を行います。
再発予防においても重要な治療のひとつです。
尿道閉塞時の治療
尿道閉塞が起きている場合は緊急処置が必要です。
- 尿道カテーテル設置
- 点滴治療
- 入院管理
を行います。
再発を繰り返す場合には外科治療が検討されることもあります。
猫の下部尿路疾患の予防方法
飲水量を増やす
最も重要な予防法です。
- ウェットフードを活用する
- 水飲み場を増やす
- 循環式給水器を利用する
などが有効です。
ストレス管理
特発性膀胱炎ではストレス管理が重要です。
- 隠れ場所を作る
- 十分な運動時間を確保する
- 環境変化を少なくする
ことを意識しましょう。
トイレ環境の見直し
猫はトイレ環境に敏感です。
- 清潔を保つ
- 頭数+1個を目安に設置する
- 静かな場所に置く
などの工夫が予防につながります。
動物病院を受診する目安
以下の症状がみられた場合は受診をおすすめします。
- 血尿が出ている
- トイレの回数が増えた
- 排尿時に痛がる
- 尿量が減った
- トイレ以外で排尿する
- 嘔吐する
特に「尿が出ていない」場合は緊急性が高いため、できるだけ早く受診してください。
当院でも実際の診療現場でみられることがある疾患であり、早期発見・早期治療が重要です。
まとめ
猫の下部尿路疾患は冬場に増加しやすく、頻尿や血尿、排尿困難などの症状がみられます。
放置すると尿道閉塞や腎障害につながり、命に関わるケースもあります。症状だけでは原因を判断できないため、尿検査や画像検査による適切な診断が重要です。
愛猫のトイレの様子に変化がみられた場合は、早めの受診をおすすめします。
オリバ犬猫病院 三ノ輪院では、豊橋市三ノ輪町をはじめ、岩田・運動公園前・豊岡・飯村・東田・赤岩口周辺の飼い主様からもご相談をいただいております。
地域のホームドクターとして、猫ちゃんの泌尿器疾患の診療にも力を入れております。気になる症状がありましたらお気軽にご相談ください。
FAQ(よくある質問)
Q1. 猫の下部尿路疾患は自然に治りますか?
軽度の膀胱炎では症状が一時的に改善することもありますが、原因によっては悪化する可能性があります。再発しやすい病気でもあるため、症状がみられた場合は動物病院で検査を受けることをおすすめします。
Q2. 猫の下部尿路疾患を放置しても大丈夫ですか?
放置はおすすめできません。特に尿道閉塞が起きている場合は短期間で重篤な状態になることがあり、緊急治療が必要になることがあります。
Q3. 猫の下部尿路疾患は再発しますか?
再発することがあります。特発性膀胱炎や尿路結石では再発率が高いため、食事管理や飲水量の確保、ストレス対策が重要です。
Q4. 猫の下部尿路疾患は予防できますか?
完全に防ぐことは難しいですが、飲水量を増やすことや適切な食事管理、ストレスの少ない環境づくりによって発症リスクを下げることが期待できます。
Q5. 猫がおしっこをしようとしているのに出ない場合は緊急ですか?
はい、緊急性があります。特に雄猫では尿道閉塞の可能性があり、命に関わることがあります。何度もトイレに行くのに尿が出ない場合は、できるだけ早く動物病院を受診してください。
